DOR0166 アルビノーニのアダージョ / ゲリー・カー DAM THE SUPER ANALOGUE DISC

レコード番号&アルバム名

DOR0166 アルビノーニのアダージョ / ゲリー・カー DAM THE SUPER ANALOGUE DISC

DOR0166 アルビノーニのアダージョ / ゲリー・カー DAM THE SUPER ANALOGUE DISC
ジャケット表
DOR0166 アルビノーニのアダージョ / ゲリー・カー DAM THE SUPER ANALOGUE DISC
ジャケット裏
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帯表
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帯裏
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1.4MB
発表年月
種類
回転数
音源
録音方式
頒布会
オーディオ
チェック
33
キング
レコード
FIREBIRD
原盤
LP
アナログ
米スカーリー280B
38cm/sec

CD
デジタル録音
三菱電機X-80
固定ヘッド38cm/sec
プロデューサー
ディレクター
スーパーヴァイザー
ミキシング・エンジニア
カッティング
エンジニア
アシスタント
エンジニア
高和元彦
西田克彦
菊田俊雄
高浪初郎
牧野 晃
 
アシスタント・エンジニア
青木輝彦・西田尚雄
金子清次
企画・制作
製造
ディスク製造
制作協力
デザイン・他
技術解説
第一家庭電器
DAMPC
キングレコード
株式会社
日本ビクター
株式会社
株式会社
サンデュエット
郷 忠雄
(フォトグラファー)

SSデザイン
高和元彦
高浪初郎
曲目・演奏者
 
アルビノーニのアダージョ / ゲリー・カー
Adagio d'Albnoni
GARY KARR double bass
HARMON LEWIS pipe-organ & piano
 

第1面
第2面
1) アルビノーニのアダージョ(8:53)
 (アルビノーニ-R ジャソット)

2) ソナチネ ニ短調(4:45)
 (L.V.ベートーヴェン)

3) アヴェ・マリア (4:24)
 (J. S.バッハ ー C. グノー)
 

1) 夢のあとに (3:42)
  (G. フォーレ)

2) ガヴォット(2:37)
 (J. A.ロレンツィーティ)

3) マドリガル イ短調 (6:59)
  (E.グラナードス)

4) 精霊の踊り (4:35)
  (Ch.W. グルック)

5) サマータイム (3:09)
  (G. ガーシュウィン)

 録音場所 宝塚市ベガ・ホール(非公開)
録音年月日 1981年9月20~22日

今回導入された 企画・新技術
カッティング・データ
 
・日本の誇る名プロデューサー高和元彦プロデュースの
キング「
THE SUPER ANALOGUE DISK」DAM初登場!!
 

・ゲリー・カー初の
THE SUPER ANALOGUE DISK」!
それもアナログ録音で実現。

 ・アナログ録音のスーパーアナログディスクと
三菱電機・固定ヘッドデジタル録音によるCDが頒布会に同時採用

・ダイレクトコネクティング・カッティング
Non Limitter, Non Equalizer, Non Pass Filter
 ・ハーフスピード・カッティング
・カッティング用独自開発管球式アンプ使用

  ・厚手・重量180g
 ・高品質レコード材を使用
 ・スリーブ付き豪華ジャケット
 
Cutting Date: March 27, 1989
       King Records, Tokyo
Tape Recorder: Neumann M-15A
Head Ampeifier : AII Tube
Drive Amplifier: AII Tube-Parallel
  Pushpull (Special Custom Made)
Cutting Lathe: Neumann
Cutting Head: Neumann SX-74
Non Limitter,Non Equalizer,
Non Pass Filter

 

 

制作にあたって
(発表時、解説書記載のまま)

ゲリー・カーの芸術と〈スーパー・アナログ・ディスク〉
 プロデューサー 高和元彦 
(発表時、解説書記載のまま)
日頃は第一家庭電器をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
頒布会も今回で31回を迎えさせていただきましたが、このところ、国内でのアナログディスクは発売枚数の上で圧倒的にC D に引き離されてしまい、残念ながらその差は開くー方です。
 
ところが、優近、オーディオ専門誌は勿論、一般雑誌、一流新聞等でアナログ・ディスクの音の良さに関する記事が、頻繁に取り上げられたり、更には特集を組まれたりしています。

これは国内レコード各社が、アナログ・ディスクの見直しを始めた、というわけではなく、本当の音の良さを知っている音楽ファンやオーディオ・マニアが CD 一辺倒の状況への不満や憂いを投稿したり、一部の評論家がアナログの良さを本音で語り出したための現象かと思われます。
 
それらは、アナログへの単なるノスタルジアではなく、現行規格のCD がまだ到達していない、音楽の表現に不可欠な大事な要素がアナログ・ディスクから再現されるからではないかと考えられます。

その要素がどのようなものかについては、過去、DAM45の「制作にあたって」の欄で、DAM の考察を度々 、述べさせていただいておりますので、改めて触れることは省略しますが、その完成度の高いアナログ・ディスクに対して、殆どの国内レコード・メーカが発売に極的て消極的なことは、大変残念なことといわざるを得ません。
 
しかし、その中で、唯一ともいうべき例外は、キングレコードの高和元彦プロデューサーが企画された、50 タイトルに及ぶキングの "ザ・スーパー・ アナログ・ディスク" (以下 "S.A.D." と略します)のシリーズです。

アナログの素晴らしさを認識しているDAMは、高和氏にDAM イベントで何回かご協力をいただきましたが、その縁もあって今回、その "S.A.D." のスぺシヤル・バージョンとしてこのアルバムが DAM オリジナル・オーディオ・チェック・レコードに、初登場することとなりました。
 
高和氏といえば、レコード業界のみならず、オーディオ業界でも大先達として著名な方であり、氏のプロデュースされたレコードは、音楽ファンはもとより、オーディオ・マニアからも絶大な評価を得ていることは、皆様もご存知のことと思います。
 
その中でも、コントラバスのゲリー・カーの一連の録音は、名演・名録音として有名ですが、今回、ご好意により、その1枚がDAMスペシャル・バージョンとして、市販に先がけて、初めて・スーパー・アナログ・ディスク化され、DAM の会員の方にだけ、頒布できることになり、本アルバムが完成しました。
 
DAM オーディオ・チェック・レコードと、キングレコードの "S.A.D."とは、アナログ・マスターを使用しており、(DAM の場合、やむを得ずデジタル・マスターを使用したこともありましたが-----)、イコライザーやリミッターを使用しない等、基本的なポリシーの上で、共通する点も多いのですが、大きく異なる点は、キングレコドの "S.A.D." は33回転であること、ハーフ・スピード・カッティングをしていること、そしてカッティングに使用する一連のアンプが真空管式であること、それぞれのマスター・テープの傾向にあわせて、カッティング・マシンまわりの線材をその都度変えて、カット・アンド・トライで微妙なニュアンスを表現していること等が主なものといえましょう。
 
ゲリー・カーの既発売のレコードは、初期のものを除いてデジタル・マスター・テープを使用してカッティングされているそうですが、本アルバムは、当時デジタル・マスタとパラ録りされていたアナログ・マスターを初めて採用し、それもイコライザ一、リミッタ一等を使わず、"S.A.D." のポリシィそのもので、カッティングされています。

ロケーションと録音時が同じ2 枚のアルバムから、ゲリー・カーの代表作である、アルビノーニのアダージョをはじめポピュラーな曲を中心にピックアップしていますが、勿論、テープはダビングせず、オリジナル・アナログ・マスターをそのまま使用しています。( なお、同時発表のDAM ゴールドCD は、デジタル録音のマスターをベースに制作されていますので、聴き比べも一興かと思います。)

アナログ・マスター・テープと、テスト・カットされたラッカー盤を試聴した結果では、今迄のDAM シリズには無かった、圧倒的な低音感と、エネルギッシユでパワフルなコントラバスとパイプ・オルガンのA 面、とてもコントラバスの演奏とは思えないゲリー・カーの名技と、それをしっかりサポートするハーモン・ルイスのピアノとの精妙なバランスが美しいB面、との対比が大変印象的で、久しぶりにオーディオ・マニアの方にも文句なく喜んでいただけるアルバムが完成することを実感した次第です。

なお、本アルバム制作にあたり、キングレコード(株)の関係者各位に多大なご協力をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。

今後とも、DAM といたしましては、最善の努力をして、スーパー・アナログ・ディスクを制作する所存ですので、会員の皆様の変わらぬご支援をお願い申し上げます。

DAM推進委員会 

 巨匠ゲリー・カーとの出会いは、1980年5月、彼の初来日のときであった。何としても彼のすばらしいコントラバスのレコードを制作したかった私たちスタッフは、幸運にもその機会を得ることができた。

 キングレコードの第1スタジオで録音したシューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」のアルバムが、記念すべき第1枚目となった。 そのときの感激は今もって新鮮によみがえってくる。

 ゲリー・カーはその翌年の81年9月に、再ぴ彼の最良の伴奏者であるハーモン・ルイスと共に日本を訪れた。当然のことながら、私たちは新たな録音を計画して彼らを待ち受けていた。しかも、こんどは兵庫県宝塚市が建てた当時から、その音の良さで評価の高いベガ・ホール(客席数約370) を使ってみようということになった。録音機器は一切東京の当社から運ばれ、3日間このホールを借り切って2枚のアルバムを録音した。その1枚は「アルビノーニのアダージョ」と題するオルガンのバックによるもの、もう1枚は「夢のあとに」というタイトルのピアノ伴奏のアルバムであった。

 この時の2枚から特別にカプリングされたのが、今回の第一家庭電器(株)さんのために作られたスペシャル・ヴァージョンの 〈ザ・スーパー・アナログ・ディスク〉 のアルバムである。

 録音はデジタルとアナログの二台のテープ、レコーダーによって、同時に収録された。録音方式は、マルチプル・テープは一切使わず、ダイレクトに2チャンネル・ステレオ・マスターとして録られた。

 そしていうまでもなく、今回の〈ザ・スーパー・アナログ・ディスク〉では、そのアナログ録音のマスター・テープが採用された。
 すでにキングレコードから発売されている前述の両アルバムは、LP、CD共にデジタルのマスター・テープから作られており、その意味でもこのレコードは完全にA-A-A 、つまり、純粋にすべてアナログそのものである点で興味を持たれる方も少なくないと思う。

 録音時のメモは高浪ミクサーの項に記されており、また〈ザ・スーパー・アナログ・ディスク〉の制作プロセスは、別頁に詳述されているので参考にしていただきたい。
 しかし、すでに50タイトルのカタログを持つ当社のくザ・スーパー・アナログ・ディスク〉のシリーズの中にも、ゲリー・カーのレコードはまだ1枚も入っておらず、正にこれが初登場となった。

 カッティングの牧野エンジニアと共にテスト・カットは慎重に繰り返されたが、このアナログ・マスター・テープによるハイ・クオリティーの音質は、その自然さ、なめらかさ、充実感、音場感など、すべての点でデジタルとは次元の違う特長が表現されたと信じている。

 特に申し上げたいのは、ゲリー・カーほど楽曲を歌い上げる表情豊かな器楽演奏者は、昨今のアーティストの中にはほとんどいないのではないかということである。それはコントラバスという楽器を超越した広範囲の演奏家の一人としてみても、比類ない存在ではなかろうか。その起伏に富んだ表情が〈ザ・スーパー・アナログ・ディスク〉から、さらに新しい、発見として聴きとれたことは、制作者として何よりも喜ばしかった。

 ゲリー・カーの生の演奏に接した方もおられると思うが、実に柔軟で豊かな響きを待っている。その本物の音の魅力に、このレコードはさらに一歩近づくことができたと思う。

 冒頭の曲「アルビノーニのアダージョ」には、私の生涯忘れることの出来ない思い出がある。ベガ・ホールでの録音のとき、ゲリーとハーモンはこの「アダージョ」の部分的リハーサルをしていた。そのときは、まだこの曲を彼らがどのように演奏するかはよくつかめなかった。ゲリー・カーの録音はほとんどテイク1かテイク2くらいで、OK になることが多い。その時もいきなりテイク1ということでテープを廻し始めた。モニタ一室では私とディレクターの西田君がミクサーの後方の机に並んで座った。

 曲が進むにつれて、そのあまりにも予想を越えたすばらしい演奏に感動して、シビアにモニターすべき本来の職分を思わず忘れてしまい、不覚にも涙が流れて止まらなかったのである。恥かしいがどうにもならない。そこで曲が終ったとき、隣のディレクターをそっと見ると、彼も同じように泣いているではないか!長年多くの録音の仕事を手がけてきた私たちの魂をここまで揺れ動かしてしまうゲリー・カーの芸術。

 私はこの〈ザ・スーパー・アナログ・ディスク〉の制作のときも、いつも思うのはそのときのことである。ハイだロウだ、F特だ、Dレンンジだ-----という前に、まず音楽と演奏によって与えられる心を打つ感動が聞く者に伝わらなくてはならない。"良い音"とは録音の新旧とか手段とか技術だけで左右されるものではないことを、常に胆に銘じて仕事をしていきたいと、思う。

 その感動をより良い状態でお伝えできるのは、今の時点では〈ザ・スーパー・アナログ・ディスク〉だと信じている。皆様のご賛同とご支持をいただければ、誠に幸いである。

( 1989年6月、プロデューサー高和元彦)

 

  

 

  

 

 

*敬称は省略させていただきます。
*回転数の「33」は33 1/3回転の略です。

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